こんにちは。
知沙都です。
私の働くRed Moon Bar(レッド)の店長がタケさんから小関さんに替わって早3ヵ月。
私は少しずつお客様に営業することを覚え、水商売に楽しさを見出すようになっていきます。
「自分のお客様」を増やしたい。
他の子ではなく、私に会いに来てくれる人がいるって素晴らしい。
持ち前の負けず嫌いと承認欲求に火がつき、毎日はりきって仕事をしていました。
しかし。
この頃のレッドのキャストたちは、もう以前のような和気あいあいとした雰囲気ではなくなってしまっていたんですよね。
当時レッドに所属していたキャストを大きく3つに分けると、こんな感じ。
第1世代 タケさんと1年以上一緒に働いたキャスト
第2世代 タケさんに採用され、育てられたが、一緒に働いた期間が短いキャスト
第3世代 店長が小関さんに替わってから採用されたキャスト
今まで何度か登場したみゆさんやさくらさん、ゆうきさんたちが第1世代です。
タケさんが消えたことに最も大きなショックを受けた層。
私は第2世代ですね。
第1世代と第2世代は、近いようで実は結構開きがありまして。
私が入るまで、レッドでは半年以上キャストが固定された状態が続いていました。
だーれも新しい子が入らない期間が半年もあったのです。
水商売はキャストの入れ換わりが激しいのが普通なので、わりと珍しいんじゃないでしょうか。
そのため、第1世代のキャストたちは連帯感が強いな~と、当時の私は感じていました。
第3世代のキャストたち、つまりタケさんを知らないキャストたちとは、当然ながらさらに隔たりが大きい。
同じレッドで働く仲間だけど、そうは認めたくない・・・
そんな空気が第1・2世代のキャストたちの中で流れていました。
私たちだってバカじゃないので、頭では分かっていたんですけどね。
タケさんがいなくなったこと、トンデモ店長の小関さんに替わったことは、新しいキャストたちには一切関係のない話だと。
だけど、「タケさんに育てられた私たちとは違う」― そんな意識からなのか、新しいキャストの悪いところばかり目についてしまって。
「新しい子たち、全然仕事しなくない?」
「シンクに洗い物が溜まってても片付けてくれないよね」
「私たちはみんな言われなくても自分からやるのに」
第3世代の子たちに面と向かっては言わないけれど、バックヤードではそんな話がちょくちょくされていました。
週5~6日働いていた第1世代のキャストたちは、みんな少しずつ出勤を減らすようになっていきます。
それに伴って、古い常連さんもお店に来てくれる頻度が下がり、ほとんど顔を出さなくなってしまう人も。
キャストとお客様との一体感でつくり出すアットホームな雰囲気こそが、レッドの売りだったのになぁ・・・
私を含む第2世代、そして第3世代がメインでお店を回す日がだんだんと増えていきました。
そしてある日。
みゆさんから「今月いっぱいでレッドを辞めます」と話がありました。
以前一緒に仕事をしていた人から声をかけてもらった。
ガールズバーは元々繋ぎのつもりで始め、楽しいから続けてしまったけど、本当にやりたかった仕事に就きます、と。
レッドが嫌になったから、というわけではないらしかったけれど、きっとタイミング的にも良かったんでしょうね。
みゆさんの前職は何となく聞いたことがありました。
綺麗でおしゃれで優しいみゆさんのイメージにぴったりの仕事。
みゆさんが辞めてしまうのはこの上なく寂しいけれど、先輩たちも、私たち後輩も、みんなみゆさんを応援したいと思いました。
みゆさんのラストの日を盛り上げて、気持ち良く送り出してあげよう。
私の記憶が正しければ、その日は水曜日でした。
平日は開店から閉店まで4人程度のキャストで回すのが普通ですが、この日ばかりはみーんな出勤したがりました。
みゆさんのラストに立ち会いたくて。
小関さんに「出たい子は全員出ていいから、それぞれ1人でもお客さんを呼べ」と言われ、私たちは必死にお客様に連絡を取りました。
そして迎えた月末。
当時、私がスケジュール帳にたまにメモしていた短い日記を引用します。
書きたいことが全部書いてあったので(笑)
名前と改行以外は原文ママです。
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今日はみゆさんの最終出勤日。女の子それぞれが呼んだお客様とみゆさんに会いに来た常連さんで、平日とは思えないほどにぎわった。シャンパンも何本も出た。
初めて会ったときは、見た目ギャルっぽいし、苦手だと思った。
でもいつも笑顔で優しく接してくれるみゆさんが好きになった。
みゆさんとシフトがかぶる日は安心だった。
女の子にもお客様にも愛される、古株の中でも特別な存在に見えた。
最後はみゆさん号泣してた。女の子も、NくんもYくん(お客様)も泣いてた。
Red Moon Barの顔だったみゆさん。礼儀としてではなく、みんな心からみゆさんの別れを惜しんで、門出を祝っていた。
変わりつつあるレッド。私はその変化を引っ張る動きをしていると思う。今までのレッドらしさは消えていく。どちらが正解とかはない。でもいよいよ世代交代が本格化するだろう。
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キャストとお客様みんなに送り出されて、みゆさんはレッドを卒業しました。
その後、みゆさんはお給料を受け取るために一度だけ顔を出し、それ以降レッドに遊びに来ることはありませんでした。
今でもLINEは一応繋がったままなので、元気でいることだけは確認できます。
みゆさんはプロフ画像を頻繁に変えるのでね。
4年経った今も、みゆさんは相変わらず美人です。
みゆさんが辞めてから1ヵ月ほどの間に、さくらさんも引っ越しのために辞め、ゆうきさんはレッドの系列の他店舗に移籍しました。
ベテラン且つレギュラー出勤のキャストがいなくなったレッド。
そしてその中で台頭してきたのが、第2世代の「りんちゃん・めいちゃん」でした。
りんちゃんとめいちゃんは元々友達同士。
2人一緒にレッドに入ってきました。
当時はりんちゃん20歳・めいちゃん21歳で、りんちゃんがレッドの中では最年少。
私の約2~3週間後にレッドに入ってきた、同期といえる存在だったのですが・・・
2人とも、かーーーーーわいいんだコレが!!!
りんちゃんは整った美人系。
でもちょっと垢抜けてないところや、子どもっぽい喋り方にキュンキュン。
私が見てきた中ではレッドのNo.1妹キャラ。
めいちゃんは小動物系。そしておしゃれ!
小柄なので幼く見えるけど、萌え系から妖艶系まで自在に使い分けられる美声が自慢。
りんちゃん・めいちゃんそれぞれも可愛いし、2人でコンビっぽいのがまたイイ!
この頃2人は昼職には就いておらず、仕事はガールズバー1本でした。
そのため、週5~6でほぼオーラス出勤。
※オーラス:開店から閉店までずっとお店に居ること。
お客様たちはみんな2人のことを知ってるし、2人もお客様のことをよく知ってる。
小関さんが休みで他の社員さんが来られない日は、りんちゃん・めいちゃんを中心にお店を営業しました。
2人の人気は目に見えて上昇。
店内に今いるお客様のほとんどがりんちゃんかめいちゃん目当てで来ている、なんていう日もありました。
まさに「りん・めい時代」の到来。
2人が新たにレッドの顔となったのです。
「大航海時代の到来」みたいなノリで言うと、何だかカッコいいですよね(笑)
でも当時は本当にそんな感じでした。
りんちゃん・めいちゃんがいて、3番手が私かな。
りんちゃんもめいちゃんも、そして私も、小関さんに従順なわけではなかったけれど。
でも、これはこれで上手く回っていた気がします。
当時はそんなふうには感じていなかったと思いますが、この約3か月後に来る暗黒時代に比べれば、安定感があったかもしれません…笑
ではでは、今回はこの辺で。
次回は再び利輝さん編の予定です。
よろしくお願いします。
お読みくださってありがとうございました。
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